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タグ: 古書画修復 の記事一覧
『第46回 ぐんま表装展』はじまりました!!
『第46回ぐんま表装展』が始まりました!
群馬県内の職人による年に一度の作品展、6/16(日)まで開催です。
ぜひぜひ、目を凝らして見てください。
会場内には、掛軸、額、屏風、ふすまが展示されています。細部までこだわった職人による丁寧な作品と、今を生きる伝統と新しい技術を見ることができます。
現代日本画家の掛軸。
修復された掛軸。
帯を使用した掛軸。
モダンな色のふすま。
オリジナルの額作品。
工夫を凝らした屏風。
などなど、一点一点見どころがあります。作品を作ったの職人さんと直接話ができるのもこの展覧会の魅力。作品解説をしてもらうとさらに楽しめますよ。
また、3日間とも午後2:00より【からくり屏風】の製作が体験できます。参加料無料。作った作品はお持ち帰りできますのでお楽しみください。
たくさん方のご来場をお待ちしています。
ご案内状はこちらをご覧ください。
『書の掛軸』の修理 ~その④完成
『書の掛軸』の修理も最終工程となりました。
今回で最終回。行程10、仕上げ作業の様子です。軸棒・八双・紐などを取り付けます。
掛軸の上部の棒の部分を”八双”といいます。ここにはカンと紐を取り付けます。
八双の取付の様子は写真の通り。
総裏打ちをした掛軸の上部に”八双”をおき、裂と裏打紙に糊を付け、包みこむように貼り付けます。
掛け軸は裏返した状態です。
ヘラを使ってさらに強く接着させます。
この掛軸は6/14(金)~16(日)開催の”ぐんま表装展”に出品しますので、会場で見ることができます。
ぜひご覧ください。
【修理前】の様子
【修理後】の様子
『書の掛軸』の修理 ~その③
前回のブログでは『書の掛軸』の修理 工程5、洗濯作業の様子 をお伝えしました。
作品の洗濯により、表面の汚れが落ちて、茶色がかっていた作品が少し明るくなりました。時間が経った物なので真っ白にはなりません。しかし、お客様の依頼で古さを残して仕上げることもあります。
洗濯前(部分)
洗濯後(部分) ※ 手ブレです。。。
そして本日は、工程8、きりつぎ(本紙と裂のつなぎ合わせ)・工程9、総裏打ちをお伝えします。
洗濯後に本紙と裂地を裏打ちしたものをつなぎ合わせ(きりつぎ)、総裏打ちしたものが下の写真です。この状態で数週間から時には数か月、貼りこんでおきます。こうして、掛軸のゆがみを調節します。
つぎは、仕上げの様子をお届けします。
『書の掛軸』の修理 ~その②
『書の掛軸』の修理は続いています。丁寧に作品の状態を確かめながら、じっくりと作業が進んでいきます。
今回は、
工程2、解体作業~3、裏打ち紙の除去作業です。
をお伝えしようと思ったのですが、写真がありませんでした。。。
ですので、
工程5、洗濯作業の様子をお伝えします。
作業としては、水を張った”洗い舟”に作品を浸して汚れを浮き上がらせるのです。作品は紙や絹でできていることが多いので、慎重な作業です。汚れが強い場合は、この作業に時間がかかります。
当店では、できる限り化学的な薬品を使わずに、水や太陽光など自然の力を利用して洗濯作業をします。こうすることで、作品の傷みを最小限に留めます。
『書の掛軸』の修理 ~その①
『書の掛軸』を修理しています。100年以上前に書かれた作品と思われます。
修理(仕立直し)の手順は以前にご案内した通りですが、もう一度書き留めてみます。
●仕立直しの工程●
1、状態の確認と採寸
2、解体作業
3、裏打紙の除去作業
4、剥落止め(絵具が剥がれないように止める) ←日本画の場合です。
5、洗濯作業(汚れの具合で長期間になることも)
6、作品・表装裂の裏打ち作業
7、折れ伏せ(折れの発生している箇所を補強)
8、きりつぎ(本紙と裂とのつなぎ合わせ)
9、総裏打ち
10、仕上げ作業(軸棒・八双・紐等の取付)
今回は 1、状態の確認と採寸 です。
写真のように、今回の掛軸は全体がだいぶ茶色くなっています。上部には”虫食い”の跡が見られ、作品の部分には”折れ”が多数あります。
この”折れ”を放置しておくと、折れた部分が削れて最終的には作品が”切れて”しまいます。”折れ”があっても、ひどくならないうちに修理を施したいものです。