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タグ: 汚れ の記事一覧
虫干しの季節です!!②美術品を永くたのしむために。
11月に入り、天気も安定し心地よい日が多くなりました。
この季節に思い出してほしいのが、掛軸や額などの美術品の”虫干し”です。
1年に1度、押し入れや棚にしまったままの作品を箱から出してみてください。長期的な湿気などの影響で作品にカビが発生したりしていませんか。
11月頃安定した晴れの日を選んで、家の中で美術品を広げてみてください。額ならば箱を開けて、掛軸ならば壁にかけて・・・作品の状態を確認するよい機会です。
1日でも良いですができれば数日。簡単な作業です。
お気に入りの作品を永く楽しめるように”虫干し”をしてみてはいかがでしょうか。
『書の掛軸』の修理 ~その③
前回のブログでは『書の掛軸』の修理 工程5、洗濯作業の様子 をお伝えしました。
作品の洗濯により、表面の汚れが落ちて、茶色がかっていた作品が少し明るくなりました。時間が経った物なので真っ白にはなりません。しかし、お客様の依頼で古さを残して仕上げることもあります。
洗濯前(部分)
洗濯後(部分) ※ 手ブレです。。。
そして本日は、工程8、きりつぎ(本紙と裂のつなぎ合わせ)・工程9、総裏打ちをお伝えします。
洗濯後に本紙と裂地を裏打ちしたものをつなぎ合わせ(きりつぎ)、総裏打ちしたものが下の写真です。この状態で数週間から時には数か月、貼りこんでおきます。こうして、掛軸のゆがみを調節します。
つぎは、仕上げの様子をお届けします。
『書の掛軸』の修理 ~その①
『書の掛軸』を修理しています。100年以上前に書かれた作品と思われます。
修理(仕立直し)の手順は以前にご案内した通りですが、もう一度書き留めてみます。
●仕立直しの工程●
1、状態の確認と採寸
2、解体作業
3、裏打紙の除去作業
4、剥落止め(絵具が剥がれないように止める) ←日本画の場合です。
5、洗濯作業(汚れの具合で長期間になることも)
6、作品・表装裂の裏打ち作業
7、折れ伏せ(折れの発生している箇所を補強)
8、きりつぎ(本紙と裂とのつなぎ合わせ)
9、総裏打ち
10、仕上げ作業(軸棒・八双・紐等の取付)
今回は 1、状態の確認と採寸 です。
写真のように、今回の掛軸は全体がだいぶ茶色くなっています。上部には”虫食い”の跡が見られ、作品の部分には”折れ”が多数あります。
この”折れ”を放置しておくと、折れた部分が削れて最終的には作品が”切れて”しまいます。”折れ”があっても、ひどくならないうちに修理を施したいものです。
掛軸の仕立直しをしています~紅葉の軸 その3~
前回、紅葉の掛軸、洗濯の様子をお伝えしたのが4月でした。
今回は切り継ぎまでをアップします。
1、洗濯が終わった本紙に肌裏打をしたところ(表)です。
2、裏側です。ライトで透かして作品の折れを確認(部分の拡大)。横にヒビがありますが、これが『折れ』です。
3、折れの部分に折れ伏せを施します。これ以上作品が傷まないように補強します。
4、切り継ぎ(本紙と裂のつなぎ)ができたところです。
ほぼ、掛軸の形になりました。この後、総裏打ちをして、仕上げをして完成です。
こちらの作品は、来月開催予定の第45回ぐんま表装展に出品致しますので会場でご覧ください。
掛軸の仕立直しをしています~紅葉の軸 その2~
作品の洗濯作業が進みました。
その1では工程4までお伝えしました。
●仕立直しの工程●
1、状態の確認と採寸
2、解体作業
3、裏打紙の除去作業
4、剥落止め(絵具が剥がれないように止める)
5、洗濯作業(汚れの具合で長期間になることも)
6、作品・表装裂の裏打ち作業
7、折れ伏せ(折れの発生している箇所を補強)
8、きりつぎ(本紙と裂とのつなぎ合わせ)
9、総裏打ち
10、仕上げ作業(軸棒・八双・紐等の取付)
ん??どうなっているのか分かりにくい・・ですよね、説明しますと、
専用の洗い船の中に水を張り、作品を浸水させています。作品の下部が波打っているのが分かります。
時間が経過すると、水の中に汚れがじわっと出てきます。薬品などは使用しませんので、洗濯によって生地や紙が傷むのが少なく、安全に作業できます。
この方法で、シミや全体的なくすみなどはきれいになりますが、油汚れなどは落とすことができません。汚れの具合で、洗濯作業をする期間が長期になることもあります。
次は、工程6作品・表装裂の裏打ち作業 へと続きます。その3へ