『書の掛軸』を修理しています。100年以上前に書かれた作品と思われます。
修理(仕立直し)の手順は以前にご案内した通りですが、もう一度書き留めてみます。
●仕立直しの工程●
1、状態の確認と採寸
2、解体作業
3、裏打紙の除去作業
4、剥落止め(絵具が剥がれないように止める) ←日本画の場合です。
5、洗濯作業(汚れの具合で長期間になることも)
6、作品・表装裂の裏打ち作業
7、折れ伏せ(折れの発生している箇所を補強)
8、きりつぎ(本紙と裂とのつなぎ合わせ)
9、総裏打ち
10、仕上げ作業(軸棒・八双・紐等の取付)
今回は 1、状態の確認と採寸 です。
写真のように、今回の掛軸は全体がだいぶ茶色くなっています。上部には”虫食い”の跡が見られ、作品の部分には”折れ”が多数あります。
この”折れ”を放置しておくと、折れた部分が削れて最終的には作品が”切れて”しまいます。”折れ”があっても、ひどくならないうちに修理を施したいものです。